「孫子」作戦編にはこのようにある。
用兵の害を知らざれば、用兵の利を知ること能わず
何かを始める場合、ほとんどのことに利と害がある。何かを得るには、何かを失わなければならない。
事の一面だけ、例えばリスクだけを考えていては何も始められないし、逆に目先の利に目が眩んで害を考えなければ失敗する可能性が高い。
ビジネスの場合、害とは想定外のところから降ってきたりする。特に日本人の文化なのかもしれないが、根回しも重要となってくる。即断行することも必要だがその場合の利と害をしっかり考慮しなければならない。
僕は何かを行動する時、思いついたら即行動するタイプの人間だが、勢いで貫いて成功する場合もあるが、ほとんどの場合失敗している。
起業したこと自体が良い例で、失う物の事を全く考えず行動した為、初年度はとんでもないことになった。自分なりに考えたつもりであったが浅はかだったとしか思えない・・・今の収益の大きな割合を占めるクライアントはしっかりと考慮してお受けした話ばかりだ。
目先の利益では無く、長期的な目線で考えた物が残り、目先で受けた物はだいたい途中で立ち消えている。
迂を以って直となす
と言うのも孫子だが、長期的な目線でメリット、デメリットを考慮していく事が大切だ。
遠くへ物を飛ばすには、重力分を考慮し放物線を描かねばならない。つまり目的地をどこに置くかによって投げる角度が変わるわけだ。逆風の時は「今は投げない」という選択肢も必要になる。
これはセールスの現場でも同じで目先の売り上げを考えすぎ、つい無理押ししてしまうとその日の売り上げは上がるがリピートにはならない。逆に今日は売り上げ0でも長期的には100万になったりもする。売ることの害を知らなければ、売ることの利を知ることはできない。と言えるだろう。
営業マンには日々の折衝の中で常にこの多面的な視覚と、迂直の計を為す長期的な目線が必要だ。